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春日鉱山のトロッコ

春日鉱山白川坑

春日村(岐阜県)にはドロマイト鉱山があります。3ヶ所のうち2ヶ所は採掘が終了しており次第に朽ち果てていきそうな状態です。軌道はこれまでにも確認していましたが、最近はどうなっているだろうかと思い立ち寄ってみました。上の写真は、白川坑を谷の対岸から眺めたところです。

鉱山について(参考:春日村史)

昭和26年(1951)に赤阪(現大垣市)に本社をもつ会社が鉱山を開設。最初にできたのが三束(みつか)坑。その後、昭和30年(1955)に中山坑、さらに昭和38年(1963)に白川坑が開設された。ダンプトラックなどにより市橋工場を経て各地へ輸送。

稼動しているトロッコ7両の編成

春日鉱山には何年も前から訪れている。稼動中止のように見えも、翌年訪問するとホッパ付近の引き上げ線が増強されていたり、次に訪問したときには線路がまったく草むしていたりと、稼動状況が不明であった。坑口は2つあるが、一方は確実に閉鎖されている。

今回訪問してみると、鉱石をトラックに積み込むための作業車のタイヤにチェーンが巻かれており、この冬の間に作業があったことを物語っていた。さらに軌道を見てみると、車輪のフランジが通った跡があり、レール上面の様子からも最近トロッコの運用があったことがわかる。

上の線路配置図での「太い線」のみが作業に使用されているようである。他のレールは土をかぶっている部分もある。

使用されているのは「春日鉱山NO.1」のバッテリロコ、それに7両のトロッコがつながっていた。トロッコ「NO..11」のプレートを見ると鳥取県のメーカー製で昭和40年製造との記述があった。
バッテリロコは他に「清水工業NO.2」と、さらに無番の小型のものが2両ある。いずれも黄色い塗装。坑道の入り口には坑内で鉱石をすくいこむショベルトロ(?)が1台ある。第二坑への線路上には、トロッコ7台、さびついたショベルトロ4台、不明なものが4台。また単なる台車も1台ある。

↑写真右側が坑口

左手前のレールの先には、バッテリロコが1両、向こう側の車庫?にも小型バッテリロコが2両ある。

↑第二坑口(廃止)に至るレール

この先にはかつて使用されていた各種車両が置かれている。


春日鉱山 三束坑

↑三束坑に残るレール

三束(みつか)坑はすでに廃止されて長い年月が経過している模様。廃墟となった粉砕場の裏側に2つの坑口とレールがある。車両は残っておらず、車輪がポツンとひとつあるのみである。


春日鉱山 中山坑

↑坑口付近

かつて80年代に訪問したときには作業員を見かけたが、現在は線路が草むしているように、すでに何年も稼動していない。しかし坑口には神社にあるような注連縄が掛けてあった。(これはまだ新しい)。坑道入り口付近の側面のコンクリートが妙に白い。この写真は坑口付近のレールであるが、草に覆われていないところを見ると坑道の側面を補修していたのではないかと想像する。とすると中山坑は廃止ではなく休止中なのかもしれない。

↑坑口方向を見る

↑ニチユのバッテリロコが1両

中山坑の坑口近くの側線には、トロッコが8両置かれている。ホッパの上屋があるところにはバッテリロコが1両とショベルトロ(?)が1両。さらにトロッコが12両。不明が5台ある。バッテリロコのプレートには、「日本輸送機株式会社 昭和41年10月製」の記述あり。

ナローレイアウトの片隅にダミーの鉱山軌道を配置している例を模型雑誌で見ることがあります。ここでは、こっちが本物であるにもかかわらず、87/87の世界をながめているような妙な雰囲気にひたりました。
中山坑は鉱山軌道の現実でもあり心象風景でもあり、また、訪問するたびに、時や自然のゆっくりしたうつろいや変化を感じさせてくれます。

撮影 2000/1/4